カウンセラーには手足がない

「依存的なクライアントが多くて困っています」

 

これは開業直後のカウンセラーが直面する悩みです。

実際に弊社主催のセミナーでもこの種のご相談は多いです。

 

クライアントは、自分ではどうしていいかわからない問題を抱えて、カウンセラーの元へとやってきます。

すがる思いで相談に来られる方もいるので、依存的になってしまうのは、ある程度仕方ないことです。

 

カウンセリング当初は、依存の割合が高くても、回を重ねるごとに徐々に自立へと進めるようにしていくのが望ましいと私は思っています。

 

ただし、最初から最後まで依存度が高い人も実際にはおられます。

そういうクライアントばかりが集まってきたら、日々のカウンセリングがとても重くて辛いものになってしまいます。

ですので、依存度が高い人をできるだけ集めないようにしていく工夫が必要になってきます。

 

 

依存度が高い人を集めないようにするには、「カウンセラーには手も足もない」とハッキリ自覚しておくことです。

 

(カウンセラーには手足がないってどういうこと?)

 

ちょっと疑問がでてくるかもしれません。

 

要は、クライアントの代わりに、クライアントの日常で起こっている問題を《直接》解決してあげることはできないということです。

実際に手と足を動かすのはクライアント自身です。

 

当たり前と言えば当たり前なのですが、でも実はクライアントの中には、カウンセラーにも手足を動かしてくれることを、どこかで望んでいる場合があります。

 

このような過剰な期待を抱かせる原因として、WEBサイトに潜んでいることが多いです。

カウンセラーのWEBサイトには、「カウンセリングを受けることで、あなたの○○という悩みが改善できます。こんな未来が待っています」と、いいことばかりが書かれています。

 

さらには、「あなたを否定することなくお話を伺います。あなたの味方です」ということが書かれていることもあります。

 

一方でこういった文言を見た依存度が高い人は、カウンセリングに対する期待値が必要以上に高まっているのです。

 

期待値が高まらないと予約しようとは思わないので、予約を取るためには、必要なことではあります。

ですが、それと同時に適切な期待値に調節することが大切になります。

 

期待値を調節するといはどういうことか?

 

たとえば、「毎回簡単な課題を出します」ということをサイトに載せておくことで、「なんでもカウンセラーがやってくれる」という考えを修正することができます。

もちろん、初回カウンセリング時にも、直接クライアントに伝えることが大切です。

 

この時点で、依存度が高い人をふるいにかけておくのです。

予約時には、クライアントから選んでもらうことになりますが、同時にカウンセラー側もクライアントを選んでいるのです。

 

そして、カウンセリングの回を重ねるごとに、カウンセリングでできること、できないことの線引きを会話の中で示して、徐々に自立していくように導いていくといいでしょう。

 

これをやっておかないと、依存度が高い人は、カウンセリングで教わったことを試しても、全然結果が出ない時に「カウンセラーは何もしてくれない」と不満や怒りに変わるのです。

それはもう、強烈に怒りをぶつけてきます。こういったことが立て続けに起こると、カウンセラーとしてやっていく自信が削がれてしまうことにもつながるのです。

 

だから「カウンセラーには手足がない」としっかり意識することが大切なのです。

私たちは代行業ではないので、クライアントの肩代わりをしてあげることはできません。

クライアントには、すでに問題を乗り越えられる能力があると信じて、いずれはカウンセラーがいなくなっても自力でやっていけるようにしていくようにサポートしていくことが肝心だと思います。

 

できること、できないことをしっかり線引きしておいて、クライアントが求めてきたら、その都度粘り強く話し合って、良い方向に進めるようにしていきたいものです。