カウンセラーが自宅開業するメリットとは

「カウンセラーとして開業を考えているのですが、どこでカウンセリングをするか迷っています」

 

当社主催のセミナーに参加される方の中には、すでに開業して5,6年経っている方もいれば、組織に所属してカウンセラー歴20年以上の方も来られます。

そして、これから開業しようと検討されている方も多数来られます。

 

これから開業する方にとっては、今までやったことがないことを決断していかなくてはいけませんので大変です。

 

屋号、料金、電話、宣伝方法、ホームページ、メルマガ配信スタンド、カウンセリング方針、キャンセル規定、他にも山ほど決めていくことがあります。そして、カウンセリングルームをどこにするかも頭を悩ませる決断となるでしょう。

 

特にカウンセリングルームは、起業後の成否をわける大きなポイントとなります。そう言うと、やはり駅前の立派な部屋を借りないといけないのか、と思われるかもしれません。

 

でも違います。成否をわけるというのは、こういうことです。

 

 

単純に言ってしまえば、起業というものは手持ちの資金が尽きたら終わりのゲームです。

もちろん、人生が終わるわけではありません。もう一度資金を貯めて、何度でも再チャレンジできるゲームです。でも、できれば失敗したくないですよね。

 

勤めていた会社を辞めて開業した人は、その後何も売上がなければ、生活費や事業費がどんどん出ていく一方です。

開業したら売り上げはなんとかなるだろう、と思い込んでいる人もいるのですが、実際に開業すると、予想をはるかに下回る結果に愕然とすることでしょう。

特にWEBのみの集客をやろうとして、いきなりホームページを立ち上げた人は、全く反応が見えないことで途方に暮れているというご相談が多々あります。

 

集客の知識を豊富に仕入れ、準備万端でカウンセラー開業を果たしても、それでも数ヶ月かかることが普通なので、カウンセラースキルしか勉強してこなかった人は、当然それ以上の日数が必要になるのです。

 

だからこそ、手持ちの資金をできるだけ減らさない工夫をしておくことが肝心なのです。

でも、集客のための販促費用はしっかりかける必要があります。出費を減らす部分と、しっかりお金をかける部分の区別は絶対に必要になります。

お金をなるべくかけずに集客の仕組みを作ろうと考えている人は、その分時間がかかることをしっかり意識してください。時間の経過が一番大きなお金の出費となることを把握しておかないと上手くいかなくなります。

 

失敗確率が高いパターンは、いきなりカウンセリングルームを借りてしまい、販促費用が全然出せない状況になることです。家賃が最も出費の中で大きいので、毎月固定費として出ていくのは、絶対に避けたいところです。あっという間に手持ちの資金が底をついてしまいます。

 

ですので、まず真っ先に検討するのは、自宅で開業することができるかどうか、です。自宅であれば、一番高い固定費をゼロに抑えられるからです。

私のところに相談に来られる方の中には、「自宅は考えていなかったです」と言う方も結構おられます。

でも、絶対不可能なのか改めて考えてみると、工夫すれば可能なケースもあるのです。

例えば、小学生のお子さんをお持ちの場合、学校に行っている間は営業できるのです。

あるいは、荷物置き場になっている部屋を片付ければセッションできる、といったケースもありました。

 

私の場合も、自宅サロンとしてカウンセリングを行っていますが、起業当初は妻に反対されました。

知らない人が我が家に上がるのは嫌。玄関を共有するのはストレスになる。仕事とプライベートの区別がない。お客様が来られている間は、子供たちが騒ぐのをやめさせなければならない。このように、反対意見が次々に出てきました。

 

自宅で開業するデメリットはしっかりと把握しておく必要があります。ですが、そこで諦めてはいけません。家族が非協力的だと争いごとになってもいけません。

 

反対者の意見は、否定することなく丸ごと聞いた上で、そこから粘り強く交渉していきましょう。

駅前にワンルームを借りた場合の出費、それに伴う家計の推移と危険度を説明していきます。売り上げゼロで、何か月で我が家の家計が破たんするかといった危険度を自宅で開業した場合と比較して見せるのです。

家にお客様が来られる精神的なデメリットよりも、別にワンルームを借りる方がもっと大きな危険があることがハッキリ自覚できます。

 

「家族に反対されたので、憤慨している」というご相談もたまにありますが、実は反対意見があったおかげで、現状を明確に把握することに役立ちます。家計の総額を計算して、何もしなくても出費がどれくらいかかっているのか、その時初めてわかったからです。自身のビジネスに対する強い自覚にもつながります。期限を切ることで、日々の行動の責任が全く変わってくるのです。

私自身は、ここを明確に把握していたからこそ、上手く事業を軌道に乗せられたとハッキリ自覚しています。

 

他にも自宅で開業する不安や心配はあるでしょう。クライアントから見て、自宅サロンはどう思われるか、という思いです。

例えば、当時の私の自宅は築30年以上で外壁にヒビが入っていました。普通の部屋なので生活感が出て、お客様も落ち着かない可能性があります。駅から離れている。

こういった心配がありました。

 

結果を言うと、全て杞憂に終わりました。全てのデメリットは、メリットに変えられます。

デメリットだと思えるものは、表現の工夫次第で全てメリットへと変換できると思ってください。

 

今回は、開業される方はまずは自宅サロンを検討しましょう、ということでした。もちろん都心のワンルームマンションに住んでいるので絶対無理という方もおられるでしょう。街中だと、レンタルルームは探せばあるので、固定費をかけずにその都度払いのサービスを利用するといいでしょう。

 

いずれにしても、起業当初はお金にこだわってください。できるだけ無駄な出費を減らすことと、売上につながるものにはしっかり投資することを覚えておいてください。